A 理由については未だに良く分かっていないのが現状です。
大きく分類すれば、3つの効果があると考えています。
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鎮痛
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内臓諸器官への影響
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免疫機構の活性化
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現代医学では解明されていない点が多いため、謎めいている印象がありますが、ある程度は推測され、仮説が立てられ、世界中で実験もされています。分かっていないからといって嘘と言う訳ではありません。人間の身体の仕組みは複雑で分かっていないことのほうが多いのです。だからこそ、経験に基づく東洋医学が現代に必要とされているのです。
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鍼治療では鎮痛効果が有名です。その1つの理由は鍼を刺した部位の「局所的な作用」から、もう1つは「脳を経由した命令系統(下降性抑制系)によるモルヒネ様物質の出現」と考えられています。
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内科的疾患に対する鍼治療の効果は、内臓及び人体諸器官を支配する自律神経を介しています。鍼の無痛性の侵害刺激が、皮膚表面から自律神経を介して内臓諸器官に影響を与えていると考えられています。
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免疫機構の活性化については、鍼という異物を身体にさすことで微小な組織損傷を起こし、それが免疫機構を活性化すると考えられています。これは未病に繋がる大切な効果です。
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中医学的に説明すれば、鎮痛効果は「気が通る」ためということになります。鍼灸の古典には「不通則痛、通即不痛」という言葉があります。「(気が)通らないと痛く、通れば痛まない」という意味です。つまり、痛みの原因は経絡を流れる「気が遮られるから(気滞)」、「気が不足するから(気虚)」というのが主な理由です。その原因は様々に考えられますが、それぞれ「気を流す」「気を補う」治療をすることで痛みを取ろうとするのが中医学の考え方です。
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内科的疾患については、臓腑経絡の気を整えることを治療の目的とします。
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免疫機構については、外邪を防ぐための気(衛気)を整えると考えることになるでしょう。
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これら全て、「気」が重視されています。鍼灸医学が「気の医学」といわれる由縁でもあります。